今年のジグ作り、とりあえず終了したのでまとめ。

約2年ちょっと前から始めた自作メタルジグ作り。

 

最初は、ほんの興味本位で手を出したのですが

周りでやってる人が居なかったので情報収集はネット主体で始めました。

 

昔からプラモデルなど結構作ったりしていたので

パーツの複製だったり自作した部品を複製したりする知識と少しの技術はあったんで

メタルジグも簡単だろう、と安易に考えていたのですが、やはり簡単ではありませんでした。

 

マスター型を作るのにも、最初はなかなか上手くいかず。

そこそこ納得のいく形状が出来ていざ耐熱シリコンで型取りし

鉛を流してみるも、ここでも失敗。型に鉛がうまく流れない。

調べると、雲母の粉末などを型につけておくと流れが良くなると合ったのですが

ベビーパウダーでも代用可とありましたが生憎どちらも持っていない。

ならば、と昔自動車の部品をFRPで作ってた際に増粘剤として使ってた

タルク(FRP樹脂の粉)が10数kgあったので使ってみると上手くいきました。

 

ところが、今度は抜いたジグの肌がザラザラ、スも入ってたり。

 

これはゴム型が冷えていると起こる現象と分かり

最初の3〜4回はワイヤーを仕込まず鉛だけ流して型を温めるための

捨て流しをすると言うことも実際にやってみて初めて分かりました。

 

それでようやく綺麗にジグが型から抜けて「やった!」と喜んだのも束の間。

 

重さを測ってみるとなんと63gもありました。

30gくらいを目標に作ったのですが・・・結局作り直しです。

試行錯誤しながら何度目かでようやく35gの方が出来ました。

 

これ、今考えると本当に馬鹿だなぁ、と思うんですが

マスター型をケミカルウッドという素材で作っていたので

実際に鉛に転化した際の重さが分からないというお粗末な原因でした。

 

まぁ、相当無駄骨を折りましたが35gが出来上がってたので

28g前後を作る際は35gのワイヤーなしの物を1つ型から抜いて

それを削って形状と重さを決めて作りました。

最初からちゃんと鉛で作れば良かっただけなんですがね。

 

その後、ひっそりとフィールドで35gと27gのテストジグを使ってみて

泳ぎを確認したのですが・・・やはり安定した泳ぎにはならず、

その後3回ほど作り直しましたが・・・安定する時もあれば急にトリッキーな

動きをしてみたりするのは改善出来ませんでした。

 

「所詮素人が作る物だしな。とりあえず作った分は使うとしよう」

 

と自分で使い始めたのですが次の日、フィールドで朝チョコ釣りに行ったら

まんまとサクラを釣り上げてしまいました。

 

そこからブランクを幾つか抜いては色々なカラーリングをして

自分用として使い始めたんですが当初、塗った後のコーティングは

ラッカークリアーを使っていたんです。

1液ウレタンなどでドブ漬けが良かったのですが当然色流れを起こすので

色止め作業が必須になってくる。

その手間と時間が勿体無くてラッカークリアーを使ってたんですがね。

 

当然、海水相手では耐久性などあるはずもなく。

 

何か良い方法は無いかな〜と考えて目をつけたのがエポキシ樹脂。

ここで2液ウレタンに行かなかったのはハンドピースを使うのに抵抗があったから。

使ったあとは入念に洗浄しなければハンドピースが使い物にならなくなるから

出来るだけ筆塗りで、尚且つ厚塗りができるのが理想でした。

実際に使ってみたら結構使い心地は良かったんです。

筆で厚塗りした後にドライヤーで温めると粘度が下がって余分な樹脂は

下に流れる。表面はツルツルピカピカに仕上がり言う事なしだったのですが・・・

 

硬化に時間が掛かる・・・

 

硬化するまでの間にどうしてもぶら下げたジグの下側の樹脂が厚くなる。

上下で2回塗って固めれば良いのですがそれだと仕上がりまで数日掛かってしまう。

 

当時、色々なカラーパターンやホログラムのパターンを作ってはテストを

ほぼ毎日のように繰り返していたので出来るだけ完成までの時間は短縮したい。

しかも、焦って作業すると混合比のズレとか攪拌不足とかで硬化不良を起こす時も。

 

その間も何か良い素材は無いかと色々物色してて

「これは?」というものを見つけました。

UVレジンです。

紫外線で硬化するというネイルアートなどで使われる物。

 

これを使ってみたらどうだろうか?とお試しで少量容器の物と

UVライトを買ってみました。

 

結果は狙い通りでした。

筆を使っての厚塗りも可能でさらにドライヤーで温めると

エポキシと同様に粘度が下がり余分な分は流し落とす事が出来て

表面の状態を確認したらUVライトで硬化させる。

硬化もすぐに固まるので時間によって下側が厚くなるのも

ある程度防げる。

 

UVレジンを使い出してからジグ作りのスピードがかなり上がりました。

 

問題は海水での使用でどの程度の耐久性があるか、ですが

1シーズン、3月後半から7月上旬まで、ほぼ毎朝2〜3時間使い続けても

レジンが簡単に剥がれるとか白ボケするとか殆どありませんでした。

中にはホロシールからペロッと剥がれるものもありましたが

これはレジン云々というより下地の密着段階に問題がある場合のみでした。

 

そう、ホログラムシールによっては粘着剤に問題がある物もたまにあったりして

そこが難しかったりします。

なんとかしたいなぁ、と考え色々取り寄せて使ってみましたが

なかなか簡単に解決はできませんでした。

 

元々ホログラムシートはフィルムの素材がPET材で固く熱でも簡単に柔らかくならず

曲面部分への貼り付け、特に僅かな面積ではかなり困難でした。

これを解決するにはストレッチタイプのフィルムを使うか、

もしくは熱転写しかありませんでしたが、さすがに趣味レベルで

そこまでは手が出せませんでした。

 

色々工夫しながら作ってきたのですが・・・

やはり仕上がりはそれなりの物でしてどうしても納得がいかず・・・

 

そして今年、熱転写に関して色々調べて、何とかお金をあまり掛けずに

熱転写を施工してみる事にしました。

 

普通のアイロンと柔らかめのシリコンゴムの板、それと熱転写シート。

とりあえず、手元にあった不要になった型用の耐熱シリコンゴムのブロックを

加熱してテスト・・・

 

ん!これは意外といけるのかも・・・

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熱転写の初回テスト

ただし・・・上手く行ったのは最初だけ。

その後は失敗の方が多くて試行錯誤が続きました。

 

その結果・・・

 

 

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下地の密着剤

当初ジグの下地に密着剤としてミッチャクロンマルチを使っていましたが

どうしても表面に僅かなザラつきが出てしまう。

熱転写シートのホロは極薄の箔状なので表面のザラつきもしっかり表面に出てしまう。

これは転写時の加熱が原因なのかどうか分からず、温度も何パターンか試して

みましたがあまり変わらず。

しかも、場合によっては転写後の箔にシワが出たり・・・

 

そこで何か良い密着剤は無いかと調べてみたんですが、専用品は

扱っている所が少ないのと、あっても割と高価で・・・

 

で、試しにバイクの塗装に使おうか、と購入してあった水性の密着剤を使ってみました。

昔からあまり水性の塗料とかに良い思い出が無くて買ったはいいけど

結局使わなかったんですよね。

 

で、試してみたらこれがかなり良くて一気に失敗が無くなりました。

転写時の加熱温度も概ね120〜130度程度が一番良い感じでした。

 

これにより、従来のホログラムシールを自作テンプレートから

毎回切り出す作業から一気に解放されました。

さらには局面部分への貼り付けも難なく出来るようになりましたし

背中やベリー側への転写もかなり上手く出来る様になりました。

 

トータルでの作業性も上がって仕上がりも良くなりました。

特にホロに関してはそれまでのPET製シートに比べかなり薄いので

全体的なシャープさも損なわれず良い事だらけでした。

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これならもっと早くから熱転写を取り入れれば良かったなぁ、と痛感しています。

まぁ、アワビ仕様は仕方が無いですけども・・・

 

とりあえず、ここまで約2年ほど掛かりましたが個人レベルで出来るところへは

大体辿り着けたのかな?と思っています。

あとやる事があるとすれば、g数やロゴなどのレーザー印字くらいでしょうけど

流石にそこまでやるつもりはありません。

 

元々、自分の興味本位から始まったジグ作り。

自分で使うだけが目的だったのですが、地元の釣り仲間やブログなどで

仲良くなった釣り友数人に何の気なしに何本か提供してたら

これが好評でそれ以来

「ちゃんとお金払うので作ってください」と頼まれるようになり・・・

 

でも、元々自分用なのでたくさん作るのも大変なので

極近しい方々にだけ、材料代で引き受けている、そんな感じ。

 

たまに別なブログの方で製作記事書いたりすると

全然知らない人から「売ってください」とかメッセージが送られてくる事がありますが

毎回丁重にお断りしています。

仲間内の分だけ作っているとはいえ、昨年も頼まれた分だけで150本以上作ってたし

シーズン中に頼まれる事が大半なのでほぼ毎朝フィールドに出ながら

夜にジグ作りというのがなかなかハードなので

提供範囲はかなり限定的に絞っているという状況です。

正直な話、材料代程度しか貰っていないので不特定多数に向けて作りだすと

流石に今の値段では厳しく感じてしまうんで。

だからと言って、それなりの価格を求めるほどの出来栄えでも無いので

悩んでしまうのは目に見えているのでこのような対応になっています。

 

まぁ、世の中もっと素晴らしいハンドメイドジグなんてたくさんあるし

たくさんのユーザーさんが実績をあげているので

どうせお金を払ってジグ買うならそっちの方が絶対にいいと思います。

 

最終的に、自分の趣味の範疇で楽しみながら作ったジグでサクラを釣りたい、

それが最大の目的でもあります。

 

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27gチカカラーでキャッチした嬉しい1匹

画像撮る直前にフックが外れてしまったので写っていないですけど

ここぞという時に割と結果を出してくれているチカカラーで来た1匹。

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大好きなチカカラー(笑)

自分の行くフィールドでは大きめの2.8kgでした。

 

昨年からは自分のルアーケースはこんな状態。

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自作ジグオンリー(自作ジグ縛りともいう)

 

自分で作ったジグで初めて釣れた時の気持ちは未だに忘れられませんね。

これが最高に楽しくて作っているようなもの。

 

仲間からも「今日もあのジグで釣れました!」って言われるのも正直嬉しい。

特に、昨年のシーズン後半に釣り仲間の後輩がサクラ釣りにチャレンジしてて

1ヶ月半たっても未だにアタリも無くて・・・と言いながらも

毎朝通って来てたので、帰りに自分のルアーケースから1本進呈したんですよね。

そしたら翌朝釣れました!って報告があって。

かなり興奮していましたが聞いているこちらも嬉しくなりました。

 

当然、昨年末にオーダーが来たのは言うまでもありません(笑)

 

そういうのもちょっと嬉しいので今後も精進して完成レベルを上げて行きたいと思ってます。